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コラム
2026.05.26 M&A

M&Aにおける「許認可確認」の重要性  ~“買った後に営業できない”を防ぐために~

M&Aでは、財務内容や売上推移に注目が集まりがちですが、実務上非常に重要なのが「許認可」の確認です。

特に中小企業M&Aでは、

  • ・建設業
  • ・産業廃棄物業
  • ・運送業
  • ・飲食業
  • ・人材派遣業
  • ・古物商
  • ・医療・介護
  • ・酒類販売

など、許認可を前提として成り立っている事業が数多く存在します。

許認可の確認を軽視すると、

「会社を買収したのに事業が継続できない」

という重大なリスクにつながることがあります。


 

●許認可は“会社の価値そのもの”である場合がある

 

例えば産業廃棄物処理業では、許可を取得するまでに多大な時間とコストを要します。

また、建設業許可や運送業許可なども、一定の人的要件・財産要件・実績等が求められます。

つまり、

「許可を持っていること自体が参入障壁」

になっているケースも少なくありません。

そのため、M&Aにおいては財務だけでなく、

  • ・許可が有効か
  • ・更新期限はいつか
  • ・行政処分歴はないか
  • ・現在の事業実態と一致しているか

などの確認が極めて重要です。


 

●「許可がある」だけでは不十分

実務上は、

「許可証を持っている=安心」

とは限りません。

例えば、

  • ・既に更新期限が迫っている
  • ・専任技術者が退職予定
  • ・名義貸し状態
  • ・実態が許可範囲を超えている
  • ・必要な変更届が未提出

などのケースもあります。

特に中小企業では、長年の慣習で運営されており、法令対応が追いついていないことも珍しくありません。


 

●許認可は“引継ぎ可能か”の確認も必要

M&Aスキームによって、許認可の扱いは大きく異なります。

・株式譲渡

法人格がそのまま継続するため、許認可も維持されるケースが多くなります。

・事業譲渡

許認可を引き継げず、新規取得が必要になる場合があります。

例えば、産業廃棄物処分業許可や運送業許可などは、事業譲渡後に改めて許可取得が必要となるケースもあり、スキーム選定に大きく影響します。


 

●実務で特に注意すべきポイント

 

① 許可証原本の確認

コピーだけでなく、

  • ・許可番号
  • ・有効期限
  • ・許可内容
  • ・事業範囲

を確認することが重要です。


 

② 行政処分歴の確認

過去の改善命令や指導歴がある場合、将来的なリスクにつながる可能性があります。


 

③ 人的要件

建設業の専任技術者など、

「特定人物がいないと維持できない許可」

は特に重要です。

キーパーソン退職により、許可維持が困難になるケースもあります。


 

④ 実態確認

例えば、

  • ・「有価物取引」とされているが実態は産業廃棄物処理
  • ・許可範囲外の営業
  • ・名義のみの運営

などは、DD(デューデリジェンス)で慎重に確認すべきポイントです。


 

●許認可確認は“事業継続性”の確認

 

M&Aでは、

  • ・売上
  • ・利益
  • ・EBITDA

などの数字が注目されます。

しかし、そもそも営業継続できなければ、その数字に意味はありません。

許認可確認は単なる事務手続きではなく、

「買収後も事業を継続できるか」

を確認する極めて重要なプロセスです。

特に許認可業種では、

“許可そのものが事業価値”

であるケースも多く、早い段階から専門家を交えて確認することが重要となります。

執筆者:杉村 康裕
M&Aアドバイザー / 中小企業診断士

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